昨日に引き続き、京都シネマで開催されている『2010京都シネマBEST10"アンコール上映』にて『瞳の奥の秘密』を見てきました。
会員投票1位という事でかなりの期待。
上映30分前に映画館についてみると、昨晩と違ってとても混雑している。
とりえずチケットを買いに窓口にいくと、「満席につき立ち見になりますけどよろしいですか?」とのこと。
まじか!
立ち見で映画見るなんて、京都スカラ座の閉館最終上映で『ベン・ハー』見て以来かもしれない。
祇園会館通ってた頃は席がないなんてのも、けっこうあったものだけど。
昨日と違って電車で来てよかった。
瞳の奥の秘密
昨日見た『カティンの森』は濃い戦争歴史ものだったのだけど、今日はサスペンス&恋愛ものみたいな感じかな。
ブエノスアイレスを舞台にしたアルゼンチン映画で、去年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞作品。
冒頭は裁判所を退職した主人公が、忘れられない事件について小説を書きはじめる所から始まる。
本質的な解決をみないまま、解決済みとなっていた殺人事件。
それを振り返り書き始める事により、彼は過去に置いてきた恋愛までも掘り起す事になる。
こう書くと割りと有りがちな感じなので、王道っぽい中年恋愛ものなのかなぁと思ってたんだけどさにあらず。
この物語は2つの愛の形が描かれている。
もう一つの愛の持ち主は、主人公が忘れられずにいる事件の被害者の夫だ。
事件はあまりにも凄惨な強姦殺人。
その描写までもあまりに過激なので、立ち見で混雑してる中ビクっと体を震わせてしまった。
その事件を主軸に話しは進むのだが、犯人が捕まって事件そのものが解決されて全てがうまくいったのかと思ったが。
そんな生半可なものではなかった。
何度もこの映画ここで終わりか。この後でちょっと話しあってエンドロールかな。
みたいな感覚があったんだけど、そんな所では終わらない。
最後の最後まで、完全完璧な結末に見る側が打ちのめされるまで映画は終わらない。
圧倒的に美しく、微塵の隙もなく完成された映画だった。
事件が解決したと思った先の先にある、あまりにも深くそして恐しい愛の形が、重い。
最後の最後にゴメスが吐く一言。
「せめて、声を、、、」
そしてこのシーンのモラレスの目。
あまりにも重い。
これだけだとほんとに重いだけの作品なんだけど、もう一つの愛を見せてくれるのが救いかな。
それによって完成された美しい映画になった。
昨日の万人に勧めていいか分からないけど、皆に見てほしい というのと違って、
美しい映画をみたいならこれを見ろ、と言える映画だった。
あまりに完成されてたので、俺が何か書くまでもないみたいな感じでblogに何書いていいか悩んだ。
ってか普段殆ど必ずと言っていい程映画みるとパンフ買う俺が、この映画では買わなかった。
面白くなかったからではなくて、全てが映画に詰め込まれていたので、これ以上何かを見る必要はないかな、と思った次第だった。
(当時のアルゼンチンの背景的なページもあるらしいので、時代背景とかをもっと深く知りたい人は目を通した方がいいのかも。
この映画、モラレス側の所みてたら東野圭吾の『悪意』思い出した。
『悪意』のような重いのがいいって人には最適な一作でもある。
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