以前、『新潮社の100冊』についての記事を書いた時に買った小手鞠るいさんの『エンキョリレンアイ』を読みおわりました。
自分にはこの手の本は向いてないんじゃないか斜に構えながら読みはじめたんだけど、全然そんな事なく、とても読みやすく面白い本だった。
後、物語の始まりが京都で自分もよく行ってた本屋で、終盤に出てくる地名も個人的に馴染み深いものが多くてビックリした。
ちょっとした偶然で読んでてテンションあがるのも楽しい。
エンキョリレンアイ。
名前の通りこれは遠距離恋愛が主軸になってるんだけど、それは遠距離恋愛からエンキョリレンアイに変わっていく。
運命的な出会いをするも、たった数時間しか時を共有できないまま、引き裂かれる二人。
携帯電話があたり前になって、インターネットも気軽になった今より少し前のお話。
細い、細い糸を手繰り寄せるようになされる二人のやりとり。
そしてそこから生じる歪み。
運命主義的な部分が多分にあるので、そういうの嫌いな人にはお勧めできないけど、とても優しい空気を持った小説でけっこう好きな感じでしたね。
文章的な所だと二人のメールのやりとりを、ちょっと変わった表現で表していたり。
文章的にわりと独特な所があったりするんだけど、不思議とすんなり読めたかも。
『ほっこり』の意味についての記述はちょっともやっとしたけどね。
終盤まで一歩引いた所で優しく眺められる小説だったんだけど、
最後の1個前の章で、割と衝撃的な所があって、そのタイミングだけは主人公と完全に同期したように自分も呆然としてしまった。
(その先数ページの内容が頭にはいらないくらいw
それでも、気力をふりしぼって最後まで読むと、納得できるラストにはなっていて、とても良いです。
この本に出会わせてくれた新潮文庫の企画に感謝かな。
この本を勧めたい気持もあるけど、せっかくだから皆も新潮文庫の100冊診断やってみるといいんじゃないかな。
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