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『七つの夜』を読んだ

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ボルヘスの文庫が岩波から出るというのを新刊.netの通知で知って、とりあえず注文したこの1冊。

届いてから気付いたけど、小説ではなくて講義をテキスト化したものだった。

まぁでも中身は十分に面白かった。


ただ前提として要求されている知識の1割も身に付けてない気がするので、まぁ難易度は高かった。

この本をキーブックとして、もっと色々な本に手をふれていきたいね。



『七つの夜』の名の通り、この本は7章に分かれており、7回分の講義がまとめられている。

神曲、悪夢、千夜一夜物語、仏教、詩について、カバラ、盲目について。


正直な話し、『神曲』も『千夜一夜物語』も読んでないし、著名な詩も殆ど知らない。

というか詩に関する教養はからっきしと言ってもいい。

でも、ただボルヘス好きってだけで挑戦してみた。


電車で移動中に読むってのもあって、最初の方は眠気との戦いになりそうだったんだけど、ちゃんと読んでると次第に面白くなってく。

未読作品の解説なのに、ここまで面白く読めるのは、ボルヘスの話術ならではなんだろうなと思います。

(他の人が書いた神曲の解説とか読める気がしない、、、


ボルヘスの哲学とも言える話しが目白押で、この人生観があの作品を生み出すんだなーといった結びつけもできて楽しい。

特に非常に面白かったのは『仏教』や『カバラ』などの宗教について扱ったもの。

日本で元々の家庭が宗教系でない家で育って生活してると、神道や仏教みたいな宗教観も道徳の中に溶けこんでてあまり実感がないんだけど、その辺を外からの視点でどういうものか解説しているのは非常に興味深い。


あと、七夜通じて出現するモチーフとして『言語』というのがある。

『神曲』や『千夜一夜物語』は様々な言語に翻訳されてきた。

ボルヘスは『神曲』を一方のページはイタリア語の原典、もう一方のページに英語の逐語訳の書かれた本で読んだ。

かつて『千夜物語』であった小説が多くの翻訳を経て物語が追加され『千夜一夜物語』として発見された。

そして多くの詩は、言葉であると共に竪琴であって、言語とは切り離せない。


この本には多くの言語が出てくる。

スペイン語、英語、ラテン語、イタリア語、ドイツ語、ギリシア語、フランス語、ノルウェー語。

はたまたボルヘスが盲目になってから獲得したアングロサクソン語まで。


多くの言語にはそれそのものの機能としての欠けているもの、欠陥がある。

だがボルヘスは言う。


それがなければこのような詩が可能とはならなかったであろう言語をどうして咎められるでしょうか


美しい。



この本に興味を持つ事が出来たなら、さらに多くの分野に興味を持つ事ができる。

そんな1冊だった。


それは作中にでる小説や詩だけに留まらない。

まだ触れた事のない言語で書かれたもの。

そして何より、自信がネイティブとして亨受しうる作品への欲求。


俺はもっと美しい日本語で書かれたものが読みたくなった。

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